art.4 せめておいしいものだけでも食べようかと思う

極悪人である甥っ子

僕には2人の甥っ子がいる。彼らはとても自分勝手だ。大人の都合なんて全く考えない。いや、もしかしたら彼らなりに少しは考えているのかもしれないが、その考えた結果は彼らの独善の世界に染まっている。

やれ遊べ。それ遊べ。もっと遊べである。

だからと言って嫌かと言われたら嫌じゃない。昔から子供との接し方がよくわからない僕ですら、彼らと遊ぶのは殊の外楽しい。疲れるし、意思の疎通は取れないし、彼らの欲するものは全く理解できないけど、彼らの笑顔とその純粋さに僕はたまらなくなる。

自分100%で生きている生き物が他者を幸せにする。

そんな彼らと接してふと思う。人はいつからだろう。過度に人の目を気にし、極度に人を恐れ臆病に、自分を押し殺して無理をし、時には自分に嘘をついてまでよい子を演じるようになるのは。

世間は言う。「人に優しくなりなさい。気を使える大人になりなさい」と。この言葉に悪意はない。それはわかる。けど人は勘違いをする。

自分勝手は悪で、人のためは善であると。

もしこれが真理なら僕の甥っ子2人は極悪人である。そして世の中は善人で溢れていることになる。争いは起きない、不平も不満も出ない、まさに桃源郷。あなたはこの世界をそんなユートピアだと感じているだろうか。

能面を被った善人より、無邪気に遊び狂う極悪人が巣食う魑魅魍魎の世界。

僕はそんな世界に想いを馳せながら、せめておいしいものだけでも食べようかと思う。

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