「月に9万も家賃を払うなら買った方が得だよ」
桜が咲く遊歩道を歩いていたらそんな声が聞こえてきた。
お酒も入って多少気分もよかったのだろう。
家賃だけではなく、月収までも大声で話ていた。
家を買ったことも買いたいとも考えたことがない僕には、それが得なのか損なのかはわからないが、それよりも不思議に思ったことがある。
人はなぜ所有をしたいと思うのだろうか?だ。
例えば家を買うとする。
支払いが終われば無事持ち家だ。
家賃などは払わなくて済む。
でも税金はかかる。
仮に固定資産税を払わないとする。
その結果、差し押さえされ競売にかけられる。
自分のものなのになぜか勝手に売られるわけだ。
これを所有というのだろうか。
そして、人はなぜそんなものを持ちたいと思うのだろうか?
別に家を買うことを否定しているわけではない。
ただ35年もローンを組んでまでして、自分は一体「何を」所有したいと思っているのかはわかっていた方がよい思う。
桜色の夜空を見上げながらふとそんなことを考えた。