art.79 道

小中と柔道をやっていた。

自分の弱さを認めるのが嫌で、半ば逃げるようにやめてしまった柔道だけど、それでも柔道をやった経験は自分の宝だと思う。

子供だったから「柔能く剛を制す」も「人に勝つより、自分に勝ちなさい」もわからない。

ただ楽しいから毎日道場に通っていた。

そんな僕でも月日が経つことで、ほんのちょっとだけわかった気にはなれるもの。

 

道には終わりがない。

 

別に柔道のことを言っているわけではない。

普段歩く道のことだ。

道を歩く。

道中誰かとすれ違う。

方向が一緒なら共に歩くこともある。

でもいつかは「またね」と言って別れる。

また会うかもしれないし、会わないかもしれない。

そしてまた誰かと出会う。

そう、道とは終わりはないのだ。

 

きっと柔道にも終わりはないのだろう。

道と同じように。

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